
前回ボールに集中するための方法として、
視覚を使う
→ボールの縫い目やケバなどの見えにくいものを見る
聴覚を使う
→バウンド・ヒットのリズムに集中する
→インパクト時の音に集中する
という方法を紹介しましたが、これを読んでくださった方の中には、
「この二つを併用すればさらに高い集中力を発揮できるようになるのではないか」
と思われた方もいらっしゃると思いますが、一概にそうとも言い切れません。
なぜなら、人間は一度に一つのことにしか、最大限の集中力を発揮できないからです。
つまり、視覚と聴覚の集中法を併用すると、必ずどちらかの集中法が甘くなってしまうのです。
もちろん、人によって視覚の方が集中できる人もいれば、聴覚を使った方が集中力が高まる人もいます。
あと付け加えれば、「ボールの匂い」で集中できる人もいます。
それはその人の個性なので。
ただし、僕は「ボールを見る」ことに対する集中は、誰でも絶対にするべきだと考えています。
つまり、視覚>聴覚だということです。
それはなぜかというと、
「視覚から得られる情報が一番多いから」です。
ボールへ集中する理由は、右脳を最大限に働かせ、右脳による運動学習を促進させるためでしたね。
学習するということは、何らかの「情報を得る」ということです。
もちろん、この情報は左脳お得意の「言語による情報」ではありません。
そして、視覚と聴覚で得られる「情報」には一部違いがあります。
たとえば視覚と聴覚両方で得られる情報には「リズムとタイミング」があります。
ボールがどのようなスピード・起動・回転で飛んでくると、どのようなバウンドをするのか。
そしてそれらのボールに対応するためには、身体をどのようなリズムやタイミングで動かせばいいのか。
この情報は視覚と聴覚の両方でそれらを右脳に学習させることができます。
しかし、実は聴覚ではあまり学習できず、視覚に一任しないといけない情報があるのです。
それが、「コントロール情報」です。
目標物に向かって、ボールを打つ、狙う。
その精度を向上していくためのフィードバックを得るためには、視覚を使うしかありません。
このように、聴覚や、その他の五感では得られない情報や効果がありますが、視覚はテニスに必要なすべての情報と効果を得ることができます。
そこで、テニスが上手くなるために一番重要なことは?と聞かれたら、間違いなく「ボールをよく見ること」となるのです。