
以前紹介した、「神谷式コーディネーショントレーニング」。
神谷コーチによると、テニス専門の練習を始める前に、すべての球技に必要な「コーディネーション能力」を向上させることが重要だということです。
この考え方には僕も激しく同意します。
コーディネーション能力はすべての球技の基礎となる能力です。
それはいわゆる「運動のできる人」にとっては当たり前の能力ですが、子供の頃に運動経験を十分に積んでいない方(最近は増えているようです)や、しばらく運動から離れていた方にとっては、この当たり前の能力が身についていないことが多々あります。
それではどんなに練習をしても、技術を習得出来るだけの「器」がないのですから、思うような上達を遂げるのは難しいと思います。
しかも、これらの「能力の欠陥」を上達できない原因だと指摘できるコーチはまずいません。
どのコーチも「能力の欠陥」を、フォームの矯正などの外側を変えることで対処しようとするのです。
しかし、それではセルフ1がうるさくなるので、いつまでたっても上達できないし、そんな自分にストレスを感じるため、テニス自体が面白くなくなってしまうのは、これまで話してきたとおりです。
(あと、「楽しさ」を感じられないとテニスは「下手に」なります。この話はまた別のところでしましょう。)
そう考えると、やはり十分なコーディネーション能力の習得は、テニスをやるに当たって、一番初めに取り組まねばならないことだと思います。
ですが、僕がこれらのコーディネーショントレーニングを勧める理由は、単純に運動能力を引き上げられるからだけではありません。
現に、テニス以外の球技は得意なのに、テニスになるとなぜか思うようにプレーできないという人は大勢います。
しかし、そんな人たちにとっても、コーディネーショントレーニングは有効です。
なぜなら、コーディネーショントレーニングには、「ボールへの集中力」を高める絶好の練習だからです!
いったいどういうことなのか、詳しく説明しましょう。
テニスとはラケットという道具を使って、小さなボールを打ち合うというとても高度な競技です。
そのため、いきなりテニスラケットを持って、ボールを打ったのでは、「ボールへ集中しろ」と言っても、なかなか難しいでしょう。
そこでコーディネーショントレーニングの出番です。
たとえばキャッチボール。
キャッチボールとテニスのラリーはよく似ています。
というか、99パーセント同じです。
違うのはラケットを持っているか、いないか、ただそれだけです。
つまり、キャッチボールをすることで、テニスと同じような「ラリーを経験できる」ということです。
ラケットを持っていては難しいと感じても、素手でなら「ボールへの集中力」を高めていくということが、どういうことか、そのイメージを実感できます。
そしてボールに集中したときの感覚さえ身に付けてしまい、それを実際にラケットを持った時でも再現できれば、みるみるうちに上達できます!
運動能力がありながら、テニスが上達しない人の多くが、ラケットを持つことによって、「テニスは難しい!」と思い込んでしまっているのです。
このような「恐怖」に心を支配されてはボールへの集中力を欠くのも当然のことです。
実際僕もそうでしたしね(笑)。
コーディネーショントレーニングはそんな人にとって大きな道しるべになるでしょう!