KEITAの物語 第二章 第四話

テニス追加28

 

第二章
「団体戦メンバーとしての最後の戦い

~圧倒的実力差のある相手に挑んだ3カ月間の記録~」

第四話

「前哨戦の敗北から立ち直れるか?秘密の猛特訓!」

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前回のストーリーはこちら

 

前哨戦での衝撃的な完敗…。
しかし、僕は過度に落ち込むことはありませんでした。

 

自分にできることはただ努力し続けることだけ。

 

なぜ負けたのか問題を明確にし、

それを解決するためにコートへ行って練習する。

 

それ以上も以下もないのです。

 

僕がまずあげた敗因はリターンの不調でした。

 

これは僕にとって好不調の波が激しい

フォアハンドとも密接に関係していました。

 

(※この時もまだ「セルフ2にプレーさせる」

という理論は構築できていませんでした)

 

 

最近はかなり安定感を増してきていた印象だったのですが、

やはりまだ技術的に不完全な部分があるのでしょう。

 

「動きをもっとシンプルに、

かつ意識するポイントももっとシンプルにしよう」

 

直感的に僕はそれがベストだと思いました。

 

それまでは僕は足の動きや、

上半身と下半身の連動など、

テニス雑誌を読みあさって得た知識を

もとに自身の技術を構築していました。

 

しかし、今回の敗戦で

そんなマニアックな知識を持っていたとしても

試合の緊張する場面では

役にたたないということを実感したのです。

 

僕は身体全体をどう動かすかという視点から、

腕をどのように動かすかという視点に変えました。

 

つまり、フォアハンドを打つ時の意識を

「腕の動き」のみに集中させたのです。

 

構えや足のスタンスの形については何も考えない。

 

ただ正しい打点まで腕を正しく振ることだけにフォーカスしました。

 

(今思えば、

この「腕にだけ意識を集中させるという考え方」は、

インナーゲームのそれと同じでした)

 

 

その効果はテキメンでした!

(ボールに集中してたらもっとよかったのに笑)

 

 

この思考方により、

より緊張した場面でも崩れにくい

フォアハンドとリターンを手に入れることができたのです。

 

もう一つ何としても克服しなければいけない問題は

「ファーストボレーの精度の低さ」でした。

 

相手のレベルが上がれば、

もちろんリターンのレベルも上がります。

 

前哨戦の相手のように

強烈なリターンを確実にボレーできるようにならなければ、

そこから自分たちの得意な並行陣を展開することはできません。

 

僕たちのペアは、この速いリターンに慣れるために、

うちのチーム内でもっとも「エグいリターン」を

打ってくるペアに試合をしてもらいました。

 

彼らはもともとシングル陣でしたが、

おそらく決勝の相手もこのような強烈なストロークを

ガンガン打ち込んでくるタイプだと思っていたので、

彼らはとてもいい練習台でした。

 

試合が始まると・・・、

相手の強烈なリターンに対して

案の定ファーストボレーが合いません。

 

今までこのようなストローカーとではなく、

ダブルスメンツ内でしか練習していなかったために、

このような速球に対応する術を

身につけていなかったことに気づきました。

 

そこで僕は普段から強いボールを

打ち込んでもらうようにしました。

 

具体的には、通常のボレスト練習でも、

短く高いボールからわざと始め、

それを思い切り打ち込んでもらうようにしたのです。

 

またサービスリターン練習でも

僕はむちゃくちゃ遅いサーブを打って前に行くようにしました。

 

そうすれば相手はコートの中から、

高い打点で思い切りリターンを打ち込んできます。

 

それを返す練習を繰り返すことで、

僕は徐々に速いリターンをファーストボレーで

確実に返せるようになっていったのです。

 

こうして悪夢の前哨戦から2週間あまり、

僕は浮き彫りになった自分の課題を

克服することに全精力を集中し、

ついに本戦一回戦を迎えます。

 

一回戦とはいえ、

僕はむちゃくちゃ緊張していました。

 

前哨戦での無残な敗北から、

二度と負けることは許されないと心に誓っていたからです。

 

そんな僕の緊張に追い討ちをかける出来事が起こります。

 

なんと、僕たちより先に入ったシングルス5とダブルス4の

両方が格下である相手にまさかの敗北を喫してしまってのです。

 

初戦ということで、どこか油断していた空気が、

この思わぬ2敗によってざわめきへと変わりました。

 

「やばくないですか?(笑)」

「これで負けたらマジで引退するわ(笑)」

 

僕の緊張はピークに達し、

この時ばかりはたまらずペアと冗談を言い合って

なんとかその緊張をほぐそうとしていました。

 

そしてついに僕たちの番になり、

ゆっくりとテニスコートに入っていきました。

 

僕たちのサークルのスタイルとして、

選手がベンチに座ると、

応援者は皆拍手で迎えてくれます。

 

僕は彼らの顔を見ながら、

「とにかくこの前みたいな

情けない試合は応援してくれてる皆に申し訳ない。

 

今日はとにかく声を出して、

そして全力でプレーしよう・・・。」

 

僕はとにかく声を出しました。

 

ポイントをとった時はもちろん、

ポイントをとられても応援してくれてる皆のところに行き

(大学のサークルの団体戦は、コートの周りに応援者が並んでいる)、

 

 

「わり、次は絶対とるわ!」と

声をかけながら一人一人とハイタッチをしました。

 

僕はこの試合までこのように応援者と

コミュニケーションをとることはあまりなかったのですが、

いざやってみると、次のポイントに

非常に高い集中力を持って臨めることがわかりました。

 

とにかくこうしてテンションをハイにすると

ミスを全く気にしなくなることが一番の効用でした。

 

言い方は悪いですが、

一種の脳内麻薬みたいなものです(笑)。

 

こうしてハイテンションで戦っているうちに、

僕たちは気づけば相手を8ー0で圧倒していました。

 

「助かった」

 

僕はこの時は喜びというよりも、

正直安堵の気持ちの方が大きかったです。

 

しかし、僕にとっては

この試合で得たものはとてつもなく大きいものでした。

 

今まで団体戦本番ではどこか力を出し切れない自分を

歯がゆく思っていたのですが、

なんとこの試合では120%以上の力を出すことができたのです。

 

しかも、その方法が

「応援とコミュニケーションすること」

だったのですから、まさに灯台下暗しですね。

 

もちろん、これが今までの練習で試行錯誤を繰り返し、

反復練習によって

技術を身体に染み込ませてきたおかげ

であることは間違いありません。

 

きっと今までは身につけた技術を自身の

「理性」の壁によってなかなか表現できなかったのが、

今回それを打ち破り

「本能」のままに発揮することを覚えたのだと思います。

 

(理性=左脳、本能=右脳ですね!)

 

僕にとってこの一回戦は、ただの勝ちではない、

本当に大きな大きな「勝利」だったのです・・・。

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今回もここまでお読みくださり、

誠にありがとうございました!

 

前哨戦で得た「課題」のひとつひとつと向き合い、

それを克服するための練習を重ねていったKEITAは、

見事に本戦一回戦を勝利します。

 

そして、そこでKEITAは今まで

団体戦本番ではなかなか本来の力を発揮できなかっのが、

ついに力を発揮する「コツ」を会得したのでした。

 

しかし所詮はただの一回戦。

 

この後まだ準決勝、

そして決勝と控えているのです。

 

まだまだKEITAの戦いは終わりません。

 

次回、またしても予期せぬ事態がKEITAを襲います!

 

次回第五話もぜひお楽しみに!

 

 

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