KEITAの物語 第二章 最終話

テニス追加28

 

第二章
「団体戦メンバーとしての最後の戦い

~圧倒的実力差のある相手に挑んだ3カ月間の記録~」

最終話

「泣いても笑っても最後の戦い!意地と意地の激突!

激戦を制したのは果たして…」

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前回のストーリーはこちら

 

決勝当日はかなり本格的に雨が降る天気となっていました。
しかし、試合で使用するのは雨に最も強いオムニコート。

 

大会役員もなんとしても今日試合を終わらせるつもりなのか、

雨天による試合中止を宣言する様子はありませんでした。

 

僕たちは男子ダブルス2。

自分たちの番が来るのは最後から2巡目。

 

それまでは雨の中必死に戦う仲間の応援です。

 

「皆頑張れ!」

 

今までやってきたことを、

とにかく思う存分出し尽くしてほしい。

 

そう思いながら、

僕は皆が戦う姿を目に焼き付けていました。

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試合前の最後の全体練習、

僕たちダブルス陣は徹底的にある技術を練習していました。

 

それは「ポーチ」。

 

オーダー変更でシングル陣とダブルスを組むペアが多くなったため、

相手との雁行陣対雁行陣のパターンが

少なからず増えるだろうと予想したためです。

 

雁行陣の後衛どうしの打ち合いでは勝負は決まらない、

いかにそこに前衛が絡んでいけるかが、

勝負の鍵になります。

 

そこで僕たちは、

後衛どうしのクロスもしくはストレートの打ち合いの中で、

とにかく「相手よりも先に仕掛ける」ことを意識して、

もう抜かれることもお構いなしに

どんどん出る練習をしました。

 

前衛がまず二人ポジションに入り、

先にポイントを決められた方から抜けていく。

 

つまり相手より先に動かなければ、

次のターンでほぼ確実にポイントを決められてしまいます。

 

この練習を徹底して繰り返したことにより、

僕はポーチを仕掛けるためのポジショニングと、

そのタイミングを身体に染み込ませることができました。

 

 

僕はもともと後衛とはいえ、

ソフトテニス出身なので、

このポーチに出る動きとは相性が良かったです。

 

感覚的に相手のボールに飛びつくといくことが

どういうことなのか理解できていたのです。

 

しかし、中にはそのポーチを思うように習得できないペアもいました。

 

今まさにそのペアが僕の目の前で激闘を繰り広げていました。

 

彼らは僕たちと同じようにそれまで

シングル陣だった選手がダブルス陣とペアを組んだ急造ペアでした。

 

さすがにシングルをやっていた選手のストロークは安定していました。

 

相手の後衛にも打ち負けない互角のラリーを展開しています。

 

その場で応援していた多くの人たちが

白熱するラリー戦に心を踊らせていたと思います。

 

しかし・・・。

 

・・・ない、ない

 

ないのです。

「決め手」が!

 

互角のラリーで終わっているのです。

 

そこからポイントを自分たちの方に呼び込むには

「ポーチ」を先に仕掛けるしかないのです。

 

しかし、そのポーチを仕掛けるのはいつも相手前衛。

 

雁行陣における前衛力の差は歴然で、

カウントはじわじわと離されていきます。

 

無理もありません。

雁行陣というスタイルに変更したのはほんの数日前のこと。

 

それまでは並行陣の戦い方しかしてこなかってのですから、

急にキレのあるポーチなどできるはずがないのです。

 

「あと少し雁行陣の練習を積んでいたら・・・」

ここに来て相手との取り組みの差が明確に出てしまいました。

 

相手は最初から雁行陣一本。

こっちはスタイルの急な変更を余儀なくされ準備不足・・・。

 

技術の差ではありません。

 

「準備」の差です。

 

本当に今まで頑張ってきた選手だっただけに、

このようなほんの小さな差で敗れることは

本当に勿体ないことだと思いました。

 

しかし、これがテニスというスポーツの現実です。

 

特にダブルスにおいては

このような小さな取り組みの差が明暗を分けるのだと、

この時思い知りました。

 

結局彼らは検討むなしく、4ー8で敗れ去りした。

 

「ダブルス陣として必ず仇はとる」

 

僕は彼の戦いを見届け、

そして静かにそう心に誓いました。

 

 

その後も、僕たちの苦しい戦いは続きました。

 

しかし、圧倒的な差は感じませんでした。

 

本当にあと少し。

 

あと少し粘れたら、

もう少し先に仕掛けられたら・・・。

 

しかし、その「あと少し」が

とてつもなく遠いのがテニスというスポーツです。

 

その少しの差を埋めるために僕たちは日々熟考し、

日々コートで鍛練を重ねなければならないのです。

 

選手の健闘と周りの応援もあと一歩及ばず、

時間ともに僕たちは一歩、また一歩と

着実に「敗北」という二文字に向けて近づいていきました・・・。

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ついにその時が来ました。

 

男子ダブルスナンバー2、僕たちの試合です。

 

僕たちもペアを組むのはほとんどぶっつけ本番。

準備不足は否めません。

 

その中でいかにお互いのポテンシャルを最大限に発揮できるか・・・。

 

相手は片方は「東西大学対抗戦代表メンバー」です。

 

かつて僕が両手フォア時代に対戦した

スーパーシードと同じ経歴でした。

 

またそのペアも学内個人戦シングルスで

ベスト16に入る実力の持ち主。

 

こっちの選手が完全に後衛固定でくるパターンでした。

 

僕たちは僕サーブの時は今まで通り並行陣、

Yサーブの時は雁行陣を選択しました。

 

ついに試合開始。

 

雨はまだこの時も断続的に降り続いていました。

 

そのためボールは水を吸い込んで重くなり、

飛びにくく跳ねにくくなる・・・。

 

「長いラリーが多くなるな・・・」

僕はそう考えました。

 

しかし、まず第一に考えるべきは

自分の武器を最大限に生かすこと。

 

「おれの武器はボレー、

とにかくネットについて、それからだ!」

 

まずは相手サーブから、

「東西対抗代表」のサーブからでした。

 

予想通りペアは、

ポジションをベースラインまで下げています。

 

しかも、なんと

サーバーである東西対抗代表と同じサイドに構えています。

 

これはサービス後に代表の方が

すぐに反対サイドをカバーしに走ることで

ペアの苦手なバックハンドを狙われるのを防ぐことを

狙ったのだと思われます。

 

 

しかし、このフォーメーションは

大きなリスクを犯していると僕は考えました。

 

なぜなら向こうの代表も早くネットにつきたいだろうに、

これでは最初二人ともベースラインにステイした状態から

展開しなければならないからです。

 

そもそもこれではリターン時に

前衛がネットにいないため全くプレッシャーがかかりません。

 

つまり、これはチャンスだと僕は思いました。

 

「わざと空けてるのならそこに打ってやるよ」

僕はストレートにリターンを打ち込みました。

 

そしてすかさずネットに詰めます。

 

「ストローク戦になったら相手の思う壺だ。

そうなる前にこっちはネットに詰めて攻撃だ!」

 

最初の2ゲームは僕たちのプレーが噛み合わず、

相手にリードを許します。

 

しかし、僕は自分の判断が間違っているとは思いませんでした。

 

僕たちは「正しいプレー」をしていたのです。

だから全く不安はありませんでした。

 

逆になぜ2ゲームを連取されたのか不思議な感覚でした。

 

その証拠に僕たちはここから怒涛の反撃を見せます。

 

僕は攻め続けました。

 

Yと相手後衛のラリーになったらすかさずポーチを仕掛けました。

 

「KEITAおまえはポーチうまいんだからガンガン行けよ!

そうでもしなきゃ相手は格上なんだから勝てないぞ!」

 

試合前僕はある先輩からアドバイスを受けていました。

 

僕はそれを忠実に実行していました。

 

「ポーチに出るのがリスクなんじゃない。

むしろ動かないことの方が100倍リスクだ!」

 

そう考えた僕は、

これでもかというほど動きまくりました!

 

そうして一気に3ー2!

 

それ以降は5ー5まで一進一退のシーソーゲームが続きます。

 

本当は僕のサービスゲームで

6ー4にできるチャンスがあったのですが、

ペアのYが珍しくあがってきた

絶好のスマッシュチャンスを痛恨のネット!(笑)

 

これが決まっていたらこのゲームを奪えていただけに、

試合後Yもこのスマッシュミスだけは悔やんでいました。

 

もちろんミスは誰にでもあることです。

その場ではもうただ切り替えるしかありません。

 

しかし、実は後になって「あのポイントが鍵だった」

と気付くゲームやポイントが、

特に競った試合には必ずあるのです。

 

しかし、試合中は誰もそのポイントがいつくるのか、

どのポイントだったのかわからない。

 

試合の「流れ」は感じ取れるけども、

本当に鍵となる1本はわからない。

 

だから試合中選手は、

目の前のすべてのポイントを無駄にすることなく、

全力でプレーする必要があるということは

是非覚えておいてほしいと思います。

 

僕たちは試合後、

この時の6ー4にできるポイントがこの試合の一つ

「鍵」だったことに気付くことになるのですが、

この時はただ気持ちを切り替えるしかありませんでした。

 

ゲームカウントは5ー5。

 

僕はここで動きを変えます。

 

ここに来て相手が僕の序盤の動きに対して、

かなり警戒心を強くしていると感じたからです。

 

そこで、僕はわざと自分のサイドを空け、

そこに相手の打球を「誘い込む」動きを混ぜて行くことにします。

 

序盤の僕のポーチに出る動きが

相手にとってかなり印象的だったのか、

この誘う動きに相手は惑わされ、

僕が待ち構えている所にボールを次々と打ってきてくれました。

 

これをすべてポイントして、

僕たちは6ー5で再びリードを奪います。

 

お互いが自分たちのポイントパターンを出し合い、

それに対してさらに「次の手」を出し合う。

 

そんな極めて高レベルの試合を僕たちは展開していました。

 

しかし・・・ゲームカウント6-5でリードしたこの時、

無情にも僕たちのチームの敗戦が決まったと報告がありました・・・。

 

正直僕たちが試合に入る段階で

チームが勝つのはかなり厳しいと覚悟はしていたのですが…。

 

それでも、試合終了の目安とされていた時間には

まだ30分近く残っていました。

 

去年も含め、例年の決勝戦はすべて、

7勝7敗で最後のシングルス1の試合まで回っていました。

 

当然試合終了目安の時間になっても勝敗はつかず、

ナイター照明を付けてまで試合を続ける状態でした。

 

それに比べれば、あまりにも早い幕引きでした。

 

結局僕たちのチームは「最強軍団」に

下馬評通り完敗を喫したのです。

 

しかし、試合終了目安の時間までは、

大会規約により、全体の勝敗がついても、

残りの試合を戦い続けなければなりませんでした。

 

これは酷な話です。

 

正直この時はメンタルを保つのに非常に苦労しました。

 

このまま戦い続けても、

僕たちのチームが優勝することはもうないのですから・・・。

 

しかし、そんな時、

試合が先に終了したコートから

僕たちのコートに続々と応援がかけつけてきました。

 

選手以外には対抗戦全体の勝敗は最後の結果発表までは、

公にはしないのが僕たちのサークルのルールでした。

 

つまり、今僕らのコートにかけつけた、

このたくさんの応援者たちの多くが、

きっとこの時点で僕たちの優勝の可能性が潰えたことを知らないのです。

 

そんな彼らは僕たちに

「絶対勝ちましょう!」

と声をかけてくれました。

 

試合が終盤に差し掛かったこの状況では、

もしこのまま戦い続ければ

時間内に僕らが敗北する可能性も、

少なからずありました。

 

それならばいっそ、

時間までインジュアリータイムや

トイレットブレイクを使って試合を中断し、

静かに「その時」を待つという選択肢も残っていました。

 

しかし、「絶対勝ちましょう」

と全力で応援してくれる彼らを見ていたら、

とてもじゃないですが戦いを途中で放棄する気にはなりませんでした。

 

「そうだな、勝とう。おれたちは勝とう」

 

Yともその決断で合意しました。

 

僕らのコートの周りは、

これまで僕が経験したこともないような数の応援者で埋め尽くされていました。

 

まだ、サークルに入りたての1年生の時、

僕は最後7勝7敗の状況で、

このような大量の応援に囲まれながら

勝利を飾った先輩の姿を目にしました。

 

その姿を見て、

「いつか自分もこんなたくさんの応援の前で

勝利を決められる選手になる!」

そう、心に誓いました。

 

その時の僕の状況は、

まさにそんな若き日に思い描いた自分の夢そのままでした。

 

その時、ついに自分の夢が叶ったのだと、

僕は後になってこの場面を回想することになります。

 

僕らはその後全力で戦いましたが、

結果2ゲームを連取されてしまいます。

 

最後6ー6で僕のサービスをブレークされて、

ちょうど試合終了時間。

 

僕たちの試合が終わると同時に結果発表が行われ、

僕たちの敗北が告げられました・・・。

 

僕にとっての最後の団体戦はこうして静かに幕を閉じたのでした。

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「多くの応援の前で勝つ」という夢は、

残念ながら完全には達成することができませんでした。

 

しかし、僕は不思議と穏やかな気分でした。

 

きっと最後の団体戦においてやり残したことは何もないと、

心からそう思えたからだと思います。

 

僕は後になってから、

悲願の初優勝の知らせを受け、

相手の東西対抗代表の選手が

試合中にも関わらず涙を流していたことを知ります。

 

彼らにとってこの優勝は

毎年「今年こそは」と期待されながらも

なかなか勝ちきることのできない苦悩の末、

ついに手に入れた感動の優勝だったのです。

 

僕はそんな彼らに心からおめでとうと言いたいです。

 

このように全力を出し尽くした後というのは、

結果がどうであれ心穏やかになれるということを、

僕はこの時知りました。

 

こうして人間としても、一つ成長することができた。

 

これらはすべて「テニス」が僕に与えてくれたものです。

 

僕はそれまで、

自分で自分に「呪い」をかけているのだと思っていました。

 

テニスにどうしてここまでこだわるのか?

 

「テニスが好きだから」と

一言で表現できるほど、

単純な話ではありません。

 

やればやるほど、後には引けなくなる自分がいました。

 

「強くなりたい」と願ってしまったばっかりに、

出口の見えない迷路にはまこり込むことの繰り返しに、

いっそテニスをやめてしまえば

楽になれるのではないかと思ったのは、

正直一度や二度ではありません。

 

しかし、そうではなかったのです。

 

僕はテニスにそのように本気で向き合うことで、

本当にたくさんのことを学ぶことができたのです。

 

僕はそんなテニスからのたくさんの贈り物を糧に、

これからも生きていきますし、

これからもテニスからより多くのことを

学んでいきたいと思っています。

 

あなたとの出逢いも、

テニスが届けてくれたものです。

 

僕はぜひこの出逢いを大切にしたいと考えています。

 

僕は一般的に世間で

「コーチ」と呼ばれるような存在ではありません。

 

そんなたいそうなものではなく、

ただ過去の僕と同じようにテニスで躓いてしまった人を

一人でも多く救いたいと思っています。

 

さらに、その活動を通じて、共にテニスを学び、

共に成長していくことのできる一人でも多くの

「仲間」に出逢いたいと思っています。

 

この僕の考えに賛同していただける方とは、

これからもぜひ深い関係を築いていきたいと考えています。

 

是非僕と一緒に、

自分がなりうる最高のテニスプレーヤーを目指してみませんか?

 

——————————— 完。———————————–

 

PS

今度はあなたが「下克上」を果たす番です。

 

現在、僕が強くなれた【秘訣】を

無料のメールマガジンで配信しているので

もし興味があれば以下のページを見てみてください。

 

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