KEITAの物語 第一章 第三話

テニス追加29

 

第一章
「大学デビューの男が憧れの団体戦メンバーへ!

どん底からの大逆転劇!」

第三話

「訪れる両手フォアの限界!やはり無理なのか…

しかし、その時閃いた意外な突破口とは?」

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前回のストーリーはこちら

 

僕は再び前日と同じ草トーに出場します。

もちろん昨日の今日ですから、

両手フォアはぶっつけ本番!

 

それでも、

「普通のフォアハンドがこの状態なら

片手でも両手でも最悪たいして変わらないだろ」

 

僕はすでに割り切っていました。

 

そしてついに第一試合開始!

 

アップは片サイド2本ずつのサーブのみ。

 

自分のサーブがすべて打ち終わり、

次は相手サーブ

…僕はおそるおそるリターンの位置に構えます。

 

一球目。

 

「来た!」

 

僕は右手、そしてその上から左手を重ね、

二本の腕でラケットを後方へ引きました。

 

そしてタイミングを合わせて前方へスイング!・・・

 

「パコッ!」

 

記念すべき両手フォア第一球目は

あまり迫力のない打球音とともに、

しかししっかりとした山なりの軌道を描いて

相手コート内に落ちたのでした。

 

「よし!予想通り!」

 

僕はちゃんとリターンできたことに安堵するとともに、

心の中で小さくガッツポーズしました。

 

両手フォアは力はあまり伝わらないものの、

逆にそれがちょうどよく、

いい感じのムーンボールとなって相手コートに落ちていきました。

 

スイングの安定性は予想通り抜群でした(笑)。

 

むしろ例の症状が再発して以来、ショットに緩急がつけられず、

ただぶっ飛ばしていたのが、

このようなゆっくりなボールを打てたことに逆に感動すら覚えました。

 

「よし、これでまた戦える!」

 

僕はこの新たなフォアハンドを手にしたことを確認し、

予定通りある作戦を実行しました。

 

そう、それは「ただひたすら返し続ける」

 

あの「シコラー戦術」です。

 

初戦の相手はそこまで球威は強くありませんでしたが、

もちろん今の僕のひょろひょろのスローボールよりかは

よほど締まったボールを打ってきました。

 

しかし、僕がやるべきことははじめから決まっていました。

 

相手が音を上げるまでひたすら粘ること!

 

僕はとにかく走りました。

 

前後左右、コートを縦横無尽に駆け回りました。

 

もともと僕も足と体力には自信があったので、

それを武器に戦いました。

 

すると相手はここまで僕が返してくるとは思っていなかったのか、

長いラリーになると最後は確実に打ち損じてミスしてくれました。

 

結果、作戦が見事にはまり、

僕は勝つことができました。

 

この日はなかなかの暑さで体力的に多少キツい面はありましたが、

しかし久しぶりに目一杯動いて試合ができたので、

むしろ試合中は心地よさすら感じていました。

 

結局僕はこの日2勝2敗という結果に終わりました。

 

しかし僕は結果以上に手応えを感じていました。

 

むしろ、ぶっつけ本番でよくここまでできたなと思いました。

 

両手フォアは今後練習していく中で

さらによくなっていく感じがありました。

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僕はその後、

直近の対抗戦のメンバーにこそ入れませんでしたが、

去年と同じく関東団体戦のメンバー先行合宿に参加し、

そこでも勝利をあげることができました。

 

やることは相変わらずただ走ってつなぐだけ・・・。

 

しかし、それでも十分戦うことはできると感じました。

 

高い軌道で相手が攻撃しにくいボールで粘るという、

「相手がされて嫌なこと」ができていたからです。

 

特に打球力がそこまで高くない相手なら、

相手が先に攻め急いでくれるので

こっちがミスしなければポイントがとれる。

 

僕は合宿初戦で勝利できたことで、

このスタイルへの自信を深めていました。

 

最初は僕が突然両手フォアに変えたことに、

周りからは戸惑いの声が上がっていました。

 

しかし、「勝つ」ことで

その声を払拭してやろうと思いました。

 

結果で自分の正しさを証明する。

 

それは今も変わらない僕の一つの流儀です。

 

 

しかし、そう簡単にはやはり行かないものです。

 

次の対戦相手は僕よりひとつ学年が下の一年生ルーキー。

 

高校時代は県ベスト8まで進んだ実績を持っていました。

 

しかし、僕は勝てると思っていました。

 

彼のテニスは見ていましたが、確かにうまいけど、

強力な武器は持っていない。

 

このタイプの選手なら今まで通りシコリ続ければ

先にミスするはずだ。

 

そう考えていました。

 

しかし、試合が始まると、

彼は僕が全く予想していなかった戦術をとってきたのです。

 

一言で言えば、「全部スライス」。

 

彼は練習では普通に打っていたストロークを全て封印し、

フォアバック共にスライスでとにかく粘ってきたのです。

 

つまり相手もシコラー戦術をとってきたのです。

 

こうなると一球一球のラリーがとてつもなく長くなる持久戦となります。

 

それでも負ける気はしませんでした。

 

「相手が打ってこないのなら逆にやりやすい、

相手がひたすら嫌になるくらいとにかく粘ってやれ!

その場しのぎのシコラーなんかに負けるか!」

 

僕はそう思っていました。

 

しかし、いざ試合が進むと、

彼は予想以上の粘りを見せてきました。

 

今思えば当たり前のことなのですが、

そのときは僕の方に 攻めるだけの攻撃力がなかったので、

相手も労せずに余裕で返し続けることができたのです。

 

この展開は僕にとって不利でした。

 

なぜなら相手に攻め急いでミスしてほしいのに、

逆にこちらが「打たされる」展開になってしまったからです。

 

しかも、相手は仮にも高校時代県ベスト8。

 

スライスからの絶妙なドロップショットや、

ネットプレー、強烈なサーブなど、

それらのスペックでは当時の僕は格段に劣っていました。

 

どうしても相手から先に有効な攻撃を仕掛けられてしまいます。

 

さらに体力には自信のあった僕でも、

この時ばかりは足にケイレンが来ていました。

 

こちらは両手フォアと我流の片手バックで極端にリーチが狭く、

ボールの落下点にしっかりと入らないと打ち返すことができません。

 

しかも相手のボールはスライスで低く滑ってくるので、

常に低い体勢を保持しなければなりません。

 

よって僕の下半身には試合を通して

相当の披露が溜まっていたのです。

 

後半になるほど僕のミスは早くなり、

死力を尽くして戦ったものの、

結局5ー7、4ー6で敗退…。

 

僕の団体戦メンバーへの道は

またしても閉ざされることになったのです。

 

僕はこの試合で「ミス待ち」テニスの

限界を知ることになったのでした。

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合宿後僕は今後の方針について再び試行錯誤することになります。

 

今のままでは同じようなシコラーと対戦した場合

攻め手が何もなく、

結局根比べの勝負になってしまう。

 

しかも、単純に自分よりテクニックのある選手と対戦した場合、

前みたいに最後はその差で押し切られて負けてしまう。

 

「やっぱり攻撃力を高めるしかない」

 

僕の中で答えはすでに決まっていました。

 

そこで両手フォアの球威を強化することを模索します。

 

しかし、当時の僕の両手フォアは我流もいいところ。

グリップは右手は通常のウエスタンで

その上からただ左手をそえているだけ。

 

どんなに思い切りよくスイングしても、

スピードはたかがしれていて、

何よりそんなむちゃな打ち方で強く打ってもミスが増えるだけ。

 

それでは余計にシコラーにとってはただのカモになってしまいます。

 

「中途半端はダメだ。そういう選手が勝てないのは、

シコラーとしてプレーしてきた自分が一番よくわかってる」

 

ならば、どうするか…

 

「やっぱり片手か…」

 

片手打ちに戻すのか?僕は迷いました。

 

もちろん僕の周りの人たちの誰もが

「両手なんかやめて片手に戻した方がいい!」

と言っていました。

 

それでも・・・。

 

片手に戻せばまたフォアハンドの調子に一喜一憂することになる。

 

毎日あの「悪夢」に怯えながら過ごすことになる・・・。

 

そんな「不確定要素」を抱えながら、

「絶対勝たなければならない」団体戦に出られるだろうか・・・?

 

100人以上いる会員(うちのサークルは本当にそれくらいいます笑)の代表として、

その想いを背負えるだろうか・・・?

 

「無理だ!」

 

周りが何と言おうと・・・。

 

自分の身体のことは自分が一番よくわかってる・・・。

 

両手打ちに変えてからはそんな恐怖に怯えることは全くありませんでした。

自分には何ができて、何ができないのか、いつもはっきりしている。

 

物事に絶対はないけれど、限りなく「絶対」に近い自信がある。

 

「絶対にボールが入る」という自信が・・・。

 

「この自信を、もう失いたくない。」

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状況はしばらくは何も変わらずに過ぎていきました。

 

僕は関東団体戦の補欠メンバーからも外れ、

ある意味また自由でした。

 

そんな時に僕はまた意外なところから

打開策を発見することになります。

 

「こいつを思い切り打ち込めればなあ」

 

両手フォアのムーンボールでつないでいたら

ほとんどの相手はまた手頃なムーンボールで返してきます。

 

しかし、それを僕はまた手頃なムーンボールでしか返せなかったのです。

 

僕は有効な攻撃を仕掛ける方法を考え続けていました。

 

そんな時、ふとサークルの仲間が

ボレー練習をしている光景を目にします。

 

ストロークは両手も片手も両方あるのに、

ボレーに関しては特に男子は全員片手で打っていました。

 

僕自身ボレーに関してはフォアバック両方片手打ちでした。

 

「なんで両手バックの人もボレーは皆片手打ちなんだろう・・・

まあ、片手の方がリーチが広いし、

強いボールも打ちやすいんだろうけど・・・ん?」

 

その時です。

ついに閃いてしまいました。

 

「そうか!!これならあのぽわーんと浮いてきたムーンボールを簡単に打ち込めるぞ!」

 

僕はまたしても自分の目のつけどころの斬新さに驚愕しました。

 

今でも僕の一番の武器は、このように

「できないことがどうしたらできるようになるのか」、

それを捻り出す力にあると思っています。

 

僕は早速この「ニューアイディア」を試すために

コートへ向かったのでした。

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今回もお読み下さり、誠にありがとうございました!

 

両手フォアに変え、

一時すべてうまく行くかと思っていたら、

今度はまた新たな別の壁に直面します。

 

しかし、実はテニスというのは

この連続だということを覚えておいてください。

 

一つ壁を越えても、また次の壁がやってくる、

そしてその壁を越えたとしても

また新しい壁がやってくるのです。

 

終わりはありません。

 

このような限りなく立ちはだかる壁のループの中に、

私たち一般プレーヤーから世界のトッププロたちまで

全員がいるということです。

 

だからテニスは楽しいのです。

 

どこまでいっても、また新しい課題を見つけ、

それを克服することを楽しむことができます。

 

それは終わりのない山登りのようなものです。

 

しかし、多くの人が

一つ目の山さえ超えることができません。

 

これは非常に残念なことです。

 

なぜならテニスの真の楽しさを、

その人たちは永遠に知ることができないからです。

 

このような一つ目の山さえ越えられない人たちに共通するのが、

実は「自分の越えるべき山が見えていない」

ということです。

 

「技術絶対論者」の方に、この傾向は強いです。

 

「フェデラーみたいなフォアが打てたら」

「ロディックみたいな高速サーブが打てたら」

 

そのような考えをするのは自分の今の実力に見合わない、

超難関の山をいきなり登るようなもの

ということをご理解ください。

 

よく考えてください。

 

あなたが勝てないのは本当に

そのような高等テクニックがないからなのでしょうか?

 

僕はすべてにおいて「技術」ありきではなく、

「戦術」を第一に考えます。

 

どのような戦術がテニスにはあり、

また今の自分はその中のどれを選べば最も簡単に

「勝利」を手にすることができるのか?

 

戦術は山、技術は山を登るための

登山道具だと考えてください。

 

僕は「粘りに粘るシコラー戦術」が、

今の自分には最も簡単にマスターできる戦術だと考えたために、

それを実行するために

「両手フォア」という技術を身につけました。

 

シコラー戦術が山、両手フォアが

それを登るための登山道具です。

 

多くの人が今持っている技術で、

少し努力するだけで超えられる山が

たくさんあるにも関わらず、あえてそれを避け、

難しい山ばかり登ろうとしているのです。

 

僕はそのことに、

この時の体験から気づくことができました。

 

勝てない、うまくなれないと悩んでいる

皆さんにもいち早くこのことに気づいていただき、

自分に合った正しい山を登りきる充実感を

味わってほしいと思います。

 

そうすれば、必ず山頂のきれいな景色を

手に入れることができるとともに、

今よりももっとテニスが大好きになっていただけるはずです。

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さあ、次回はついに最終話!

 

KEITAは何に気づいたのか?

 

そして新たに身につけた現状を打開する戦術とは?

 

KEITAの怒涛の反撃が始まる!

 

悲願の団体戦メンバー入りはなるのか?

 

第一章感動のクライマックスをどうぞお見逃しなく!(笑)

 

 

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