KEITAの物語 第二章 第二話

テニス追加28

 

第二章
「団体戦メンバーとしての最後の戦い

~圧倒的実力差のある相手に挑んだ3カ月間の記録~」

第二話

「おれは戦力外?ふざけんな!狙うはダブルス1!」

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前回のストーリーはこちら

 

とかく返し続ける「鉄壁のボレー」を身につける!

 
僕は番狂わせを起こすにはそれが必須条件だと考えていました。

 

ミーティングから約ひと月後の2月、

僕たちのチームは大会に向けて本格的に練習を開始します。

 

ダブルス陣はまずはペアを決めなければなりません。

 

そしてその中でセレクションを行い、

勝ち残った4ペアが団体戦のメンバーとして

試合に出場する権利を得ます。

 

まずはここで勝たなければ何も始まりません。

 

それゆえに、ペア決めもシビアです。

 

皆できるだけ強いやつと組みたいのは当たり前。

 

 

過去の実績等も大事ですが、

実際にここでいかに自分の実力をアピールできるか?

 

 

それが自分の望むペアと組む唯一の方法。

 

練習初日、

とりあえずいろいろなペアリングを試してみようと言うことで、

僕も4人とペアを組んで、一回4ゲームで回していきました。

 

僕はとにかく「堅く」プレーすることを心掛けました。

 

ボレーだけじゃなく、サーブリターンに関しても

下手なミスをしないように集中しました。

 

ポーチなどの攻撃的なプレーはわざと控えました。

 

僕の理想は二人で堅くボレーを返し続け、

あくまで「壁」になることで相手にプレッシャーをかける、

そんなダブルスでした。

 

そこでペアにもそれを求めたかったので、

組んだペアがファーストボレーなどどれだけ堅実にこなせるのか?

 

僕自身ペアを「審査」していたのです。

 

僕は自分が出た試合はすべて負けずに終えることができました。

 

まあたった4ゲームなので、スコアはあまり当てになりませんが、

それでも僕の堅く自分の仕事をきっちりこなすという

イメージは皆にも伝わったのではないかという手応えがありました。

 

練習後のミーティングではそれぞれ

今日組んだペアに対してその印象を話し合うことになりました。

 

「おれは今日一回も負けてないぜ?

堅かっただろおれのプレー?」

 

僕は皆が僕に対して高評価してくれることを期待していました。

 

が・・・僕はこのあと皆の声に愕然とすることになります。

 

「KEITAと組んで勝てるイメージはしないんだよなぁー」

 

は?

 

僕は驚きました。

 

そしてすかさず、

 

「え?でもおれ今日堅かったでしょ?

ミスなかったでしょ?」

「まー前よりはダブルスできるようになったかなーって

感じはしたけどさぁ」

 

ちょっと待てよ(笑)と、この時は思いましたが、

よくよく聞いていると彼らの勝つイメージと

僕の勝てるイメージに少なからずズレが生じていることがわかったのです。

 

僕以外の多くが、圧倒的に格上の相手に対し、

攻撃的なプレーで勝とうとしていたのです。

 

格上の相手に守ってるだけじゃ勝てないだろと・・・。

 

そこで多くが

「ポイントを決めてくれる」

ペアと組みたがっていたのです。

 

ポーチができ、詰めボレーができ、

豪快なスマッシュが打てる。

 

とにかく動き回ってポイントしてくれることを

ペアに求めていたのです。

 

その点からすると、

確かに今日の僕のプレーは

そのような攻撃的なプレーではありませんでした。

 

守備的で、ただ自分の所に来たボールをそつなく返していただけ・・・。

 

しかし・・・、僕は考えました。

 

あくまでそういうプレーは堅実なプレーができた上でのものではないかと。

 

今の僕たちのように一つ一つのプレーにミスが多い段階で、

いきなりそのようなプレーを目指しても

いい結果は得られないのではないか・・・。

 

とは言うものの、僕自身それまで

ダブルスにおいて結果を出してきたわけではありません。

 

そんな僕が何か言ったところで机上の空論でしかありません。

 

結局KEITAはもっと攻撃的なプレーをするべきだと言う意見をもらい、

その日のミーティングは終了しました。

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僕は壁打ち場にいました。
攻撃的なボレーやスマッシュを身につけるためです。

 

僕は皆の意見を受け入れることにしました。

 

確かに守っているだけじゃ勝てない。

それがテニスというものだと。

 

ただし、堅いプレーも身につけなければ、

格上には勝てない、

その思いも変わらずに持っていました。

 

「おれが証明するしかない」

 

まずはいいペアと組んで、

この後に控えるセレクションを勝ち残ること。

 

「いや勝ち残るだけじゃダメだナンバー1にならないと・・・。」

僕は気合いを入れて練習に励みました。

 

僕は次の全体練習時までには、

皆に課題とされていた

「攻撃力不足」を多少は払拭することができていました。

 

「KEITAやればできるじゃん」

「まあ練習したからね」

 

求められるものには応える。

そして自分はさらに強くなっていく。

 

結局ペアは僕の一つ学年が下の

2年生(4月から3年生)に決まりました。

 

実はその彼とは、第一章で僕が2年の時、

夏の合宿で壮絶な「シコリ合い」を演じた

「全部スライス」の彼です(笑)。

 

彼もこの時はダブルス陣だったのです。

 

勝つためなら手段を選ばない彼となら、

おもしろいペアになるんじゃないかと、

僕は密かに期待していました。

 

セレクションではいきなり実質ナンバーワンとされているペアと戦うことになりました。

 

去年からダブルス陣を引っ張ってきたいわゆるエースです。

 

逆にここに勝てば、

僕たちが彼らに代わって実質ナンバーワンになります。

 

僕は気合いを入れました。

 

「さすがに今はまだ勝つの厳しいっすよねー」

ペアの彼が試合前そのように声をかけてきました。

 

「こっちはまだペアも組んだばっかり出し、

今は勝てなくたってしょうがないっすよ、

まあ気楽にやりましょう!」

 

彼はいつも試合前はこんな感じでした。

 

自身の緊張をほぐすためにあえてこのように言うのです。

 

でも本当は彼も僕と同じで、

根っからの負けず嫌いなのはわかっていました。

 

「勝てるよ!」

 

僕は一言そう答えました。

 

そして彼にこれから仕掛ける作戦について説明しました。

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試合が始まりました。

 

彼らは二人とも完全なネットプレーヤー。

 

サーブ後はどんどん前に詰めてきます。

 

確かに僕たちのような「にわかダブルスプレーヤー」が

彼らとまともに戦ったら勝つのは厳しいでしょう。

 

しかし、その日はかなりの強風が吹き荒れていました。

こういう日は得てして番狂わせが起きやすいものです。

 

1ゲーム目、僕たちは風上サイドからリターンでした。

 

彼らのサーブは強風によって減速し、

いつものような威力はありませんでした。

 

僕はすかさずリターンを打ち込みます。

 

逆に風に乗って加速する僕のリターンは、

ダッシュしてくる相手の足元に沈み込み、

相手はそれを返球できず、ミス。

 

僕たちは風にも助けられ、

そのままこのゲームをブレイクします。

 

今思えばいきなり最初ブレークできたことで、

彼らの勢いを完全にそぐことができました。

 

次の風下サイドからのサーブは彼に任せました。

 

 

実は彼はこの時肩を痛めていたので

思い切りサーブを打てなかったのです。

 

「え?それなら風上サイドから

サーブを打たせた方がいいのでは?」

 

いえ、僕たちは風上サイドからのサーブは

確実にキープしたいと考えていました。

 

 

そこで風上からは僕がサーブを打った方が

確実にキープできます。

 

よってある意味風下サイドからのペアの

サービスゲームは捨てることにしたのです。

 

もしも、1ゲーム目を相手にキープされていたら

リスクをとって僕がサーブを打つことも考えたかもしれません。

 

 

でもブレークできたことで

このゲームにはそれほど執着する必要がなくなったのです。

 

そんな半ば捨てにいったゲームでしたが、

結果的にはなんとキープしてしまったのです!

 

相手が彼のスローサーブに対して、

風上からのリターンが合わなかったのかミスを連発。

 

こうして最初の2ゲームを

「予想外」にもとることができ、

試合の流れは完全に僕たちに傾きました。

 

 

結局8ー2で圧勝してしまったのです。

 

相手は強風の中なかなかサーブとリターンが

安定しなかったのが敗因だったと思います。

 

まさに棚ぼた!

 

そういうわけで試合前に立てた作戦はあまり使うことがありませんでした。

 

その作戦というのは「ロブを有効に使い相手の並行陣を崩す」というもの。

 

もちろん「スライスロブ」のように

完全な守りのロブでは相手に攻められてしまいますが、

突き球に「スピンロブ」を混ぜて相手の陣形をかき乱せば、

ミスるかポイントを決めるチャンスが来ると考えたのです。

 

僕たち二人はもともとお互いシングラー。

 

そこで二人でポジションを下げ、

守備を強化しながらストロークで崩す

というオプションを考えていたのです。

 

もちろんこのような戦術はスキのない並行陣には通用しません。

 

そこで、このやり方で勝つことで、相手二人に

「もっと堅いダブルスをしなきや勝てないよ」

ということを伝えたかったのです。

 

しかし、今回の試合ではボレーだけでなく、

サーブやリターンの精度の低さも

露見してしまうことになりました…。

 

もちらんこれは彼らだけでなく、

ダブルス陣全体の課題であることは間違いありませんでした。

 

こうして僕は晴れてダブルス1の座についたのです。

 

しかし、ここからが本当の戦いであることは

誰の目にもあきらかでした。

 

克服すべき課題はまだ山のようにあったのです・・・。

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今回もお読みくださり誠にありがとうございました!

 

ラッキーもありましたが、

こうしてKEITAはダブルス1というポジションを

自力で勝ち取ることに成功します。

 

しかし、ここからまたいくつもの困難が

KEITAに立ちふさがることになるのです・・・。

 

第三話もぜひお見逃しなく!

 

 

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