インナーゲーム②正しいフォームを身につけることが上手くなることだと思っていませんか?

KEITA

正直に申しますと、僕はほんのつい最近まで、テニスが上手くなるには

「正しいフォーム」

を身につけなければならないと思っていました。

だからテニス雑誌の

「撮れたて、全豪オープン出場選手の最新テクニック!」

なんかを目をハートにしながら読みあさっていました(笑)。

でもおかしなことに、そうやってマニアックな技術理論を学べるだけ学び、詰め込んだ後、僕は強くなれたかというと・・・全くそんなことはなかったんですね。

むしろ弱くなったと思います(笑)。

なぜか?

その理由は簡単で、完全に「頭」でテニスをしていたからです。

「テークバックはラケットを背中側に出ないようにセット、

軸足の蹴りからスイングをスタートして、

股関節の鼠径部の折込みを作り、

左の肩甲骨を後ろに引きつつ、右手を肘から前に出して・・・」

そんな技術論を頭に思い浮かべながらスイングしたとして、練習ではできたとしても、試合ではまず100パーセントできません。

つまり、打ち方をいかに理屈で理解できていたとしても、それでは強くなれないし、「勝てない」ことがわかったのです。

今思えば当たり前の事なのですが・・・当時の僕は、

「何か自分がまだ知らない、コツやテクニックがあるはずだ!それを知れば、必ずうまくなれる!」

と、本気で信じていました。

その後、僕は自分に何が足りなかったのかやっと気づきました。

それは「感覚」です。

いくら正しいフォームを身につけようとも、「ボールを相手コートに入れる感覚」を身につけなければ、ボールは一生入るようにはなりません。

僕たちは、ついつい正しいフォームを身につける=ボールをコントロールできるようになる、と考えてしまいがちですが、実はこの二つは全く別次元の話なのです。

たとえば、ショートラリーが苦手な人っていませんか?

ベースラインからは素晴らしいストロークを打てるのに、サービスラインまでのミニラリーになると、とたんにスイングがぎこちなくなり、ボールをネットしたりアウトしたりする人。

このような人は典型的なフォーム重視の人で、「感覚」がない人です。

普通に考えれば近距離で打ち合ったほうがコントロールはよくなるはずなんです。

ボールを投げて的あてするとき、遠くの的より、近くの的を狙ったほうが当たりやすいですよね?

それと同じです。

しかし、実際にショートラリーがうまくできない人は結構たくさんいます。

そういう人たちに限って、距離が短いから「トップスピンを強くかけなきゃ」と考え、下から上にラケットを物凄いスピードで振り上げたりします。

本当はそんな複雑ではなく、ただ「弱め」に打てばいいだけなんですね。

でも、そんな当たり前のことができない・・・。

つまりそのような「感覚」が身についていない人が、実際問題かなりいるということです。

これはつまりその人の頭の中に「お手本のフォーム」があって、その「理想のスイング」に縛られてしまっている可能性が高いです。

僕はこのようにフォームを意識せずに「感覚」でボールをコントロールすることを覚えてから、逆に前よりも身体の動きが自然になり、結果的にフォームがきれいになったと思います。

これから僕がもし、誰かに「打ち方」を見て欲しいと言われたら、打ち方よりもまずはその人の「感覚」をチェックすると思います。

なぜなら、どんなに打ち方を教えたところで、この「正しい感覚」が伴っていなければ、結局ボールを思ったところにコントロールすることはできないからです。

そして、むしろこの正しい感覚さえ覚えれば、フォームのことなど一切考えることなく、あっという間に上達することができるのです。

次回:「フォームありき」の上達法に代わる【次世代の上達法】