全豪OPを最後に引退!お疲れヒューイット!

KEITA

今年最初のグランドスラム、
全豪オープンが開催中ですね。

毎年グランドスラムを最後に現役を退く選手は多いですが、
今年はなんと言ってもあのヒューイット
この大会での引退を公言していたので
試合前から注目が集まりましたね。

日本にも根強いファンがいるヒューイット

僕はソフトテニス時代からヨネックスユーザーだったこともあり、
ヨネックスの看板選手であるヒューイットを
自然と(?)応援していました。

ヒューイットと言えば
01年と02年に世界ランキング1位に君臨した元王者。

決してパワーのある選手ではないものの、
俊敏なフットワークを一番の武器にして
「どんな球にでも食らいつく」スタイルで
当時まだ勢いのあったサーブ&ボレーヤーや
強力な一撃を放つパワーヒッターをことごとく倒していく姿は
体格的に劣る日本人にも大きな勇気を与えましたよね。

一説によれば試合中に「カモン」の掛け声を
日本のジュニアがやりだしたのは彼の影響だとか。

そのことからわかるように
日本にも根強いファンがいるのがヒューイットです。

2012年には東日本大震災のチャリティーに参加するために来日。

錦織選手とのエキシビジョンマッチをして
ファンを喜ばせていました。

ちなみにこの試合でヒューイットは錦織選手に勝利。

ヒューイットは公式戦でも
通算2章0敗で錦織選手に勝ち越しているんですよね。

どんな強敵が相手でも絶対に諦めない。

粘りに粘って最後相手が根負けしてミスしたときに
飛び出す「カモーン」の雄叫びを見て
心が熱くなったのは僕だけじゃないはずです。
本当に好きすぎてこんな動画まで作っちゃうほどです(笑)。

個人的にはあのソフトテニスを思わせるような
大きなテークバックを取るフォアハンドが好きで
ソフトテニス時代からお手本にしていました。
そんなヒューイットですが、
近年は怪我の影響でランキングは徐々に下降。
マスコミも
「ヒューイットはもうダメだ」
「そう遠くないうちに引退するだろう」
と過去の王者を冷ややかな目で見るをこともしょっちゅうでした。

しかし、ヒューイットはそんな声には耳を傾けず、
2010年にはトップ10への「復活」をかけて
トニー・ローチ氏をコーチに招聘。

ローチ氏曰く、
「トップに戻れると思わなきゃコーチなんて引き受けないよ」
と、語るほど元王者への信頼は熱く、

ヒューイット自身、
「今年中に必ずトップ10に戻って見せるよ!」
と常に強い自信と高いモチベーションで
トレーニングと試合に励んでいました。
そして、2013年はエキシビジョンながら
ラオニチやベルディフ、デルポトロなどの強豪を抑えて
クーヨンクラシックで優勝。

2014年のブリズベン大会の決勝では
あのフェデラーを破って優勝を飾るなど、
体調さえ万全ならまだまだ
トップ選手とも互角に戦えることを証明していました。

ちなみに、ヒューイットとフェデラーは仲がよく、
ロッカールームでも一緒になると
よく子供の話をするなど1人の父親としても
お互いのことを尊敬しているそうです。

2人は去年(2015年)
エキシビジョンマッチでも対戦していましたね。

「来年の全豪を最後に引退する」

そんなヒューイットが「引退宣言」をしたのは
ちょうど1年前(2015年)の1月、全豪オープンでのことでした。

「来年の全豪オープンを最後に引退し、
それまでは出場大会を絞ってツアーを回る」

いやー僕的にはこの記事を読んだとき
「ついにこの時が・・・」という感じでしたが、
もうあの「カモン!」が聞けなくなるかと思うと
やっぱりちょっと残念でしたね。

彼の引退会見のインタビューで印象的だった言葉があります。

インタビュアーがヒューイットに対して
「あなたと同世代のフェデラーがいまだに
トップで活躍していますが、それを見て
まだまだ自分もできると思ったのではないですか?」

この質問に対してヒューイットは
「それはないね。人にはそれぞれ引き際というものがある。
僕にとってはそれが今なんだ。」

闘うモチベーション(動機)が人それぞれなら、
それを終わらせるモチベーションも
人それぞれだということですね。

そしてついに最後の全豪へ

そしてヒューイットにとって最後の大会が
彼の故郷オーストラリアで行われました。
主催者推薦で出場したヒューイットの
初戦の相手は同胞オーストラリアのJ・ダックワース

やはりこうやって見るとかつて
ツアーナンバー1と言われたフットワークは
明らかに衰えていますね。

ただ、ヒューイットの武器は
フットワークだけじゃありません。

これまたツアーでも屈指のプレースメントを誇る
正確なストローク。

そして、ヒューイットはスライスやボレーなども実は得意です。

かつてグランドスラムのダブルスでも
優勝経験があるくらいですからね。

これらのショットでダックワースの
スピンの利いた強力なフォアと
時たま見せるサーブ&ボレーに応戦します。

フットワークにかつてのキレはないものの、
やはり相手の隙を見て繰り出す
フォア・バック両サイドからのダウンザラインは秀逸ですね。

決して速いボールじゃないのにエースが取れるのは
ダウンザラインを打つまでの配球の妙と、
コートの中からタイミングを早くして打っているからですね。

このタイミングをぜひ多くの人に見習って欲しいです!

ヒューイットの「カウンターショット」を徹底解説!!

そして、結果は3-0でヒューイットが見事勝利。

最後のトップスピンロブが
いかにもヒューイットらしいですね(笑)。

昔から「一番得意なのはトップスピンロブ」
と言うくらいでしたから。

勝利を決めた瞬間にコートに倒れて喜ぶ姿を見ると、
やはり心のどこかで「この試合が最後かもしれない」
という気持ちがあったのでしょうね。

でも、彼のこういうパフォーマンスからも垣間見れる「熱さ」
いつまでもファンから愛される所以なのでしょうね。

ヒューイット、最後の試合へ

2回戦の相手はスペインのフェレール

そして、これがヒューイットにとって
現役最後の試合になりました。

フェレールはヒューイットと同じように
体格には恵まれていないものの
その分ミスの少なさとコートカバーリングで
粘りに粘るタイプの選手です。

実は彼も1982年生まれで、
1981年生まれのヒューイットとは同世代なんですよね。

その彼がいまだに世界のトップ10にいることを考えると
「ヒューイットもまだまだやれるんじゃないか」
と思ってしまいますが、
やはりフェレールのほうが身体のキレは明らかにいいです。

似たプレースタイルの両者が対戦すると
どうしてもそれが際立ってしまいますね。

それでも、スライスでなんとか返してくるヒューイットに対して
フェレールはドロップショット
左右だけでなく前後にも揺さぶりをかけます。

フェレールのドロップショットを
必死に追いかけるヒューイット。

それを見ていたらテレビの前からでも
「取れるー!!」って声を出してしまいそうになります。

ときになんとかキャッチしてそのままエースを奪う
ファインプレーを見せると
まさに「おっしゃー!!」って感じでした。

いやーこんなに心から応援したくなる選手が
もういなくなってしまうと思うと
本当に寂しいですね。
そして、ついにその時がやってきてしまいました。

セットカウント2-0、5-4、40-15でフェレールのマッチポイント。

最後はフェレールのダウンザラインを返せずにゲームセット。

ヒューイットの現役最後の試合(シングルス)はこうして幕を閉じました。

ヒューイットが残した功績

ヒューイットと同じ1980年周辺に生まれた選手たちは
「ニューボールズ」と呼ばれ、
サンプラスやアガシの黄金時代に続く選手たちとして
注目を集めました。

サフィン、フェレーロ、ロディック、
そしてフェデラーなどですね。
その先人を切ったのがヒューイットでした。

98年に若干16歳でツアー初優勝。

2001年の全米OPで王者サンプラスを決勝で破り
グランドスラム初優勝を果たし、
そのまま世界ランク1位に。

2002年にはウィンブルドンで優勝し、
通年で世界ランキング1位を保持。

その他にもツアーファイナル2年連続優勝や、
デビスカップ優勝、今回の全豪でも
2005年に準優勝するなど数々の功績を挙げました。

これらのタイトルを全て
20歳代前半で獲得してしまったのですから
まさに早熟な選手だったんですね。

また、一般的に
守備的なストローカーと評価されることが多い
ヒューイットですが、僕的には彼こそ
今のジョコビッチやマレーに続く
「守備的オールラウンダー」
のハシリだったのではないかと考えています。

ヒューイットは先にもお伝えしたように
スライスやボレーなどのショットも含めて、
すべての技術レベルが高い選手でした。

そういう意味では
安定感抜群のストロークを武器にしながらも
相手に合わせて様々なカードを切れる
万能性に優れた選手であったと思います。

(ただ、彼の場合はややパワー不足だったのが
唯一の弱点だったのかなと思います。)

また、ヒューイットの出現を機に、
男子テニス界の趨勢は大きく変わったと
個人的には思っています。

ヒューイットが活躍し始めた当時は
まだサーブ&ボレーを主体にゲームメイクする
トップ選手が何人もいましたが、
彼の出現とともにそういうプレーヤーは
減少の一途をたどりました。

その理由は明白で、用具の進化により、
選手全体の守備力が向上したことで
サーブ&ボレーなどの短期決戦が
通用しなくなったからです。

つまり、ラケットやボールの進化など、
90年代後半から2000年代前半に起きた
大きな技術革新の流れにいち早く乗って
「守備的オールラウンダー」という、
現在の主流にあるスタイルで
最初にトップまで駆け上がったのが
ヒューイットだったのではないかと。

そう考えると、
まさにテニス界の新しい時代の先陣を切ったのが
ヒューイットという選手だったのかなと思います。

ただ、キャリアの中盤以降は
史上最高のオールラウンダーであるフェデラーや
同じようなスタイルながら自分よりパワーのある選手たちに
トップ争いをリードされることになってしまいました。

それでも最後まで諦めず、自分の持つ可能性を信じて
トレーニングや練習に明け暮れたヒューイットを
僕は心から尊敬します。

そんな彼は早速、祖国オーストラリアのデビスカップ監督に就任するようですね。

でも、今はとにかく身体を休めて、
家族と存分に幸せな時間を過ごしてほしいですね。

お疲れさま!レイトン!

PS

24日、ダブルス3回戦でヒューイット/グロス組が破れたため、

シングルス&ダブルス両方でヒューイットの現役引退が決まりました。