インナーゲーム④フォームを意識することで下手になる

KEITA

前回の二つの記事を読んでいただければ、フォームありきの従来の指導法では、上達に限界があるということはご理解いただけたと思います。

知っておいてもらいたのが、トッププロ達は皆、「どういうふうにラケットを振ろう」とか全く考えていないということです。

おそらく彼らの9割以上のプレーは自身の「感覚」に基づいて自然に行われているのでしょう。

このことが何を意味しているかわかりますか?

実はテニスが上手いと言われる人たちほど、自分がなぜテニスが上手なのか説明できないのです。

なぜなら、彼らにとってそれはただ「普通に」プレーしているだけなのですから。

彼らが考えていることはいつもただ一つ、

「ボールをどこに打てばこのポイントをとることができるか」

それだけです。

そして自分が「あそこにこんなボールを打ちたい」と望めば、自然とその場所に意図したボールを打てるように身体が動くのです。

そのことから考えると、

「フォームを意識しない」で「感覚」のみでプレーできるようにすること

が、私たちの技術習得のゴールなのです。

なぜならテニスの技術は「オープンスキル」、つまりそれを使うシチュエーションが絶えず変化する競技特性を持っているからです。

世間一般では「安定」を求めてフォームを一定に固定したがりますが、実は100%安定したフォームは、100%安定したボールコントロールを実現しません。

つまり、選手は「常に同じフォーム」でボールを打っていては、逆に刻一刻と変化する状況に対応することなどできないのです。

むしろ、本当に上手な選手からしたら、それは非常に不自然なことです。

そんな「不自然」な状態を進んで作り出そうとするのが、従来の「フォームありきの指導法」なのですから、やはりその有効性には限界があると言わざるを得ません。

次回:「2人の自分」の存在を知ろう